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戦争と平和

· 約4分
Yachiko Obara
共同代表 @ ポリマスリサーチ
Hiroki Obara
共同代表 @ ポリマスリサーチ

戦争は生命を躍動させるテクノロジーの不足で起きる。

戦争とはアポトーシス的な悲しい解法

ある生命の集団を養うためのエネルギーが不足している場合に、エネルギーを増やすのではなく、生命を減らすことによって、集団を維持しようとする。これは人間スケールだけでなく、他の生物スケールでも見られる現象である。戦争とはアポトーシス1的な悲しい解法である。

エネルギーは食糧など具体的な物質の形態で介在される。私たち人類が「資源」と呼ぶものはすべてエネルギーが具体化されたものである。地球内部から掘り起こされる化石燃料も、地球表面で大量生産される動植物も、すべて生命維持のためのエネルギーである。私たち人類自身も相互に相手を生かすために存在するエネルギーの一形態である。

交換とベーシックエネルギー

ある生命の集団を養うためのエネルギーに十分恵まれる「豊かな国」が2つあるとする。この場合、この二国間で起きるのは、戦争ではなく、交換である。私たち人類は相互に相手を生かすために働く性質を本性として持っているから、生命を維持可能なエネルギーを有する集団同士では、生命を躍動させるためにエネルギーを交換する。

一方が豊かで、もう一方が豊かではない場合や、どちらも豊かではない場合、エネルギーの分配を巡る争いが必ず起きる。生命にとってのエネルギーとは、生命維持に必要なエネルギーである。食糧など生活を維持するためのあらゆる一次的なエネルギーである。我々全員に必要なものは、ベーシックインカムではなく、これらのベーシックエネルギー2である。それはヒトだけでなく、全生物に必要なものである。

生命は協力して相互に繁栄するためにエネルギーと仕事を分担する

生存競争をして自然淘汰で生き残ったものを進化したものとする見方は、エネルギーが不足していた時代の間違った考えである。生命は協力して相互に繁栄するためにエネルギーと仕事を分担するものであり、進化は役割分担の結果として必然的に生じるものである。

細胞内小器官はお互いに生存競争をしていない。内臓は生存競争をしていない。生命体を構成する細胞も組織も生存競争をしていない。それなのに、なぜ多細胞生物である我々が、協調して働く内臓器官を複数持つ我々が、お互いの相互作用で生きる我々が、間違った「進化論」を信じてしまったのか。それは、エネルギーの欠如から発生した利己性のためである。

平和とは生命を躍動させるテクノロジーの進化によって実現する状態

平和とは願うものでも祈るものでもなく、生命を躍動させるテクノロジーの進化によって実現する状態である。つまり、生育に関するエネルギー効率を改善するテクノロジーの進化に貢献することで、戦争を回避し、平和を実現することができる。戦争する必要がなくなるところまで、エネルギー効率を高めていけばよい。これは机上の空論ではなく、物理的に実現可能な理論である。

平和はこどもから始まる3。それはヒトのこどもだけでなく、植物・動物・菌類、あらゆる生物のこどもを指す。我々ポリマスリサーチでは、地球語で「農業」と「教育」と名の付いた生育テクノロジーを改善していく仲間を常に募集している。エネルギーの観点を持ち、生産者と消費者という主客二元的な見方を脱し、全員が変換者であり改善者でもあるという宇宙的認識に立って、気軽にコンタクトを取ってもらえたら嬉しい。


Footnotes

  1. アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。

  2. ポリマスリサーチ独自の概念。生命を維持するために必要なエネルギーを全生命に供給するというアイデア。全生命に我々も含まれる。

  3. マリア・モンテッソーリの言葉。