フェーズ2「発達理論の社会実装」への移行
ポリマスリサーチの活動を開始して、1年と3ヶ月が経過しました。その間、発達理論研究を続け、多くの発見と洞察を得ました。AIの進歩によって調査能力と推論能力が向上し、予想よりも速いペースで研究が進展しました。
それにより、ポリマスリサーチのヒトの万能性に着目した発達理論は第一フェーズを完了し、第二フェーズの社会実装に移行します。手始めに、オルタナティブスクールを4月から開始します。オルタナティブスクールの詳細は別の記事にまとめるので、この記事では書きません。以下は、発達理論研究の進展に関する記録です。興味がある方は続きをお読みください。
第一フェーズ「ヒトの発達に対する洞察を得る研究」の完了
2024年2月7日に投稿したエッセイ「精神的な飢えは目に見えない」で、以下のように書きました。
私たちは、ヒトの発達研究が人類の教育システム進化のボトルネックになっていると考えています。 そのため、第一に「ヒトの発達研究を進め、その研究過程で得たヒトの発達に対する洞察を得ること」、第二に「得た洞察に基づき、こどもたちに必要な環境を整備していくこと」という明確な指針で活動してい ます。
このうち第一フェーズは完了し、新しい発達理論として発表するべく論文を執筆中です。その論文にまとめる作業と並行して、私たちはポリマスリサーチのミッション「こどもたちの万能性を活かす」を実現するため、フェーズ2「発達理論の社会実装」に移行します。これにより、実証研究的に新たな知見が手に入ると思います。それらも私たちの発達理論にフィードバックしてアップデートしていきます。
モンテッソーリ発達理論と教育理論の進化
私たちは心の働きで発達に関する神秘を解き明かし、新しい発達理論を構築しました。モンテッソーリ発達理論は全生命に適用可能な理論に進化しました。その詳細は論文等で発表していくとして、この発達理論をもとに今度は教育理論の構築と実践の仕事に取り掛かります。
これはモンテッソーリ教育理論の正統進化であると考えています。物理的条件にのみ着目しているのでメソッドの有効性(必要十分性)は高まったと思います。実行コストは劇的に下がり、効果の有効性はおそらく劇的に上がっています。(これから検証していきますが、理論計算上はそうなります)
これが意味するのは、人類の生育テクノロジーがより少ないコストでより多くの効果が出るように進化するということです。これにより、例えばモンテッソーリ 園やモンテッソーリスクールに依存しなくても、優れた教師や学校に多額の教育費を費やさなくても、各家庭レベルでこどもの知的能力を全方向に発達させることができます。親の子育てリテラシーを高める形で、民主的にすべてのこどもの全人格の発達は実現できます。
どうやって第二フェーズ「発達理論の社会実装」をしていくか
また、2024年6月12日に投稿したエッセイ「超自然生育理論」で、以下のように書きました。
一方、神秘的ではない事柄について科学は強力である。科学の本質は専門分化だから、身体機能を外部化するのが上手い。(中略)科学は身体機能を強化するためにある。
フェーズ2の社会実装において、私たちは神秘的ではなくなった発達法則に合わせた環境整備を科学を用いて行っていきます。科学は神秘を解き明かすことはできませんが、身体機能を強化することができます。道具とは身体機能の外部化であり、道具を強力にしていくことで不可能を可能にすることができます。私たちの発達理論は生命の完全性原理と多様性原理に基づくものであり、全生命を扱うことができます。その全生命には、 私たちヒトもウシもヒツジもサカナも植物も含まれます。私たちの発達理論は、ヒトだけを論じていながら「生命の援助」を語るモンテッソーリ教育メソッドの進化バージョンのようなものです。と言われても、抽象的すぎて何を言っているかよくわからないと思うので、これから行う具体的なアクションで何となく理解してもらえればと思います。
サイエンティフィックに、超自然的に
科学技術の発展により、学術的に多くのことが明らかになっています。それらのフィードバックを受けずにずっと古い方法論を使い続けるのは無理が来ています。人類は生育における方法論自体を進化させる仕事を怠っています。特に、「教育学」はまったくサイエンティフィックではありません。
教育システムの構築は、個人の成功譚や武勇伝に基づくべきではありません。徒に社会の要請に従って、学校に仕様追加をしていくべきではありません。資本主義的な理念なき教育をすべきではありません。可能な限り、属人性を廃し、個人のカリスマ性に依存しない構造を追求すべきです。お題目の復唱ではなく、真剣に世界平和へ貢献すべきです。
自然科学を進化させることで超自然科学の道が開かれます。それは西洋科学と東洋科学の融合によって実現できます。透徹した自然論理を理解することによって、宇宙の思惑を思料することができ るようになります。より解像度の高い思考、それは自然哲学の先にある超自然哲学です。「超自然」という語はスピリチュアルワードではなく、サイエンティフィックを極めた先にある概念です。
「再現性のある」学術研究に基づけば、こどもを育てることはいまよりも遥かに楽になります。インターネットやSNS上にある無料のノイズ的子育て情報は未検証で、中には有害なものもあります。それらは非常に大きな問題です。私たちは、人類の「子育てに関する能力」を科学によって拡張する試みとして、月刊誌「Scientific Montessori」の発行を予定しています。
徹底的に、宇宙的に
宇宙探査に関するテクノロジー全般が発展し、銀河系レベルのデータ1や太陽系外から来る電波2、重力波3などを検出可能になりつつあります。それに伴い、宇宙の姿がいろいろと見えてきました。よく頭を働かせさえすれば、そうした時代背景を活かし、宇宙について物理学的に考察を展開して、様々な発見と洞察を得ることができます。
地球上で観察可能な自然現象と宇宙の自然現象を学問的に平等に扱い 、人類文明が獲得した諸理論を全宇宙に汎用的な説明になるよう修正すれば、自然を哲学する意識は必ず拡張されます。それこそは、自然哲学に対して超自然哲学と呼ぶことができるものです。
私たちポリマスリサーチの基準では、人間社会でのみ通用する理論は学術的研究が不十分であるとみなしています。ポリマスリサーチの基準において、「学術的」とは全学問に対して矛盾がないということです。一学問分野でのみ適用可能な理論は本来「学術的」と呼ぶべきではありません。
宇宙で普遍的に通用する理論が人類文明社会にはもっと必要です。その物理法則レベルの理論の数が人類文明社会の知的豊かさを表していることは間違いありません。と同時に、その宇宙普遍レベルの理論をもっと惑星地球文明内で普及させていく努力が必要です。天動説を信じている人々はまだまだたくさんいるのです。
Footnotes
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2025年1月15日、ESAが位置天文衛星ガイア(Gaia)のデータをもとに天の川銀河の最新の想像図を公開。(史上最も詳細な天の川銀河の3Dマップ、ESAが公開) ↩
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2025年3月12日、オランダ電波天文学研究所や英オ ックスフォード大などの国際研究チームが北斗七星の方向から約2時間おきに30秒から90秒間届く謎の電波の発信源は、地球から約1600光年離れた所にある赤色矮星と白色矮星の連星と特定したことを発表。(Sporadic radio pulses from a white dwarf binary at the orbital period) ↩
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2016年2月11日、アメリカの重力波観測装置「LIGO(ライゴ)」(レーザー干渉計重力波観測所)の研究チームが重力波を初めて検出したことを発表。地球から4億パーセク(13億光年)のところで、2つのブラックホールが合体して1つのブラックホールになった際に放射されたものと特定済み。(重力波を初めて直接検出) ↩