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ポリマススクールオブモリオカ設立趣意書

近頃は、娯楽に供する技術ばかりが目覚ましく発達している。教育の技術は未だ幼く、智慧を育む理論などは久しく停滞したまま、根幹の発達理論研究に取り組む者は少ない。このまま人類を愚かにする技術が人類を賢くする技術を凌駕するならば、早晩個体数は減少し、やがて別の知的生命体に代替されるのは火を見るより明らかである。

今や核兵器に比肩するほどの強力な技術が実用化されつつある。人間の知性は年々衰退し、機械の知性ばかりが華やかに進化している。人工知能の進歩と反比例するように、自然知能は退化しつつある。

歴史を顧みれば、強大な技術の登場が生物の命運を幾度も分けてきた。シアノバクテリアの光合成技術に始まる酸素革命から、古生代のカンブリア爆発と陸上進出、中生代の大陸分裂と巨大隕石の衝突、新生代の大陸移動と氷河時代を乗り越えて、我々は生命を繋いできた。生命の連環そのものである我々は今、また岐路に立っている。ヒト属で現存する唯一の種である我々が愚かさを募らせるまま強力な技術を手にするならば、自ら破滅の道を歩むことになるだろう。

人類滅亡へのカウントダウンは秒読みである。回避するには、ヒト本来の知性を飛躍的に高める新たな技術を打ち立てる他に道はない。そして幸運にも、これまでの全人類の協力によって、その技術に必要な素材は「既製品」として利用可能である。それらの活用法だけが未解決なのである。

石を砕いてハンドアックスを手にして以来始まった石器時代は、92種類の宇宙元素の分類を完了し、合金技術をも獲得する水準に至っている。技術向上のための弛まぬ努力は、自動車、船、飛行機、宇宙船、半導体チップへと発展し、今日の文明社会を支えている。道具の改良と改善に全生涯を捧げてきた人類はこれからも目覚ましい技術革新の数々を実現し、石器時代は超石器時代として引き続き継続され、我々はまだ見ぬ宇宙へ飛び出してゆく。そのために惑星地球上で可能な限り宇宙理解を拡大すること。それこそがまさにヒト本来の知性を飛躍的に高めることに他ならない。

我々は素晴らしい手を持っている。そして大きな心を有している。すべては最初から完全に与えられている。生まれ持った本来の万能性を発揮することで、「ホモ・サピエンス(賢い人)」を「猿」へと巻き戻す幾多の技術を超越し、より賢い次の種「ホモ・スプラナチュラ(超自然的な人)」への進化を可能にする技術の応用形として、我々は全く新しいモデルの「学校」を必要とする。

地球上で最も知的な学校の実現を目指し、ここにポリマススクールオブモリオカの設立を宣言する。